Prologue — 日光がいちばん照りつける季節
初夏の京都。
夏本番の重たい暑さが来る前の、日光がいちばん照りつける季節。
石畳はまだ朝の涼しさを残していて、
木々の緑は、これから濃くなるぞという顔をしている。
今日は東山を、ゆっくり歩く。

Kiyomizu-dera — 清水の舞台の上の青
坂を上りきって、仁王門の朱色が視界に飛び込んできた瞬間、
やっぱり京都に来たのだと実感する。

参道の人波に混じって石段を上がり、本堂へ。
そして、あの舞台に出た。
これ以上ないというほどの、気持ちのいい晴れ。

清水の舞台の縁から見下ろすと、東山の緑が幾重にも重なって、その向こうに京都の街並みが、遠く白くひらけていく。
視界を遮るものが何もない。

しばらく、清水寺を散策。天気に恵まれるというのは、それだけで旅の半分が成功したようなものだ。

初夏の緑は、秋の紅葉のような華やかさはないけれど、そのぶん「まっさら」で、見ているだけで呼吸が深くなる。

下から見上げた清水寺。迫力がある。

Sannenzaka & Ninenzaka — 石段を下りながら
清水寺を出て、参道を下る。
そのまま清水坂をまっすぐ行かずに、途中で右へ折れると、三年坂(産寧坂)が始まる。

急な石段の両側に、瓦屋根の町家がびっしりと並んでいる。
京都らしい風景といえばここ、という一枚がどこを切り取っても撮れてしまう。

坂を下りきると、今度は二年坂へ。
三年坂よりも少しなだらかで、道幅もゆるやかになり、
甘味処や雑貨屋の看板が、歩くテンポをゆっくりにさせてくれる。

抹茶のソフトクリーム
一口目で、まず苦みが来る。
そのあとを追いかけるように、まろやかな甘さがふわりと広がる。
甘いだけの抹茶ではなく、ちゃんとお茶の顔をしている。

Kyoto Gion Saryo — 蔵をリノベーションした茶寮へ
二年坂を下りて、ねねの道を抜け、祇園八坂神社の方へ。
向かったのは、八坂神社の南楼門前にある 京都祇園茶寮。

古い建物をリノベーションしたという店内は、和の落ち着きとモダンさが同居していて、
石畳の通りの空気がそのまま室内に続いているような心地よさがある。看板メニューは、店内の工房で焼き上げる 「蔵出し食パン」。
そのパンを使ったトーストセットを、二種類いただいた。

蔵出しトーストセット
焼きたてのパンは、ふわりと軽いのに、噛むとしっかりとした芯がある。
「まるでごはんのよう」と評されるのも納得で、
小麦そのものの甘みが、後からゆっくり追いかけてくる。

たまごトーストセット
こちらは、たまごのやさしさが全部。
とろりとした卵と、香ばしいトーストの縁のコントラスト。
朝の東山を歩き回った体に、これ以上ない美味しさだった。

窓の外を、観光客と、時折り着物姿の人が通り過ぎていく。

Epilogue
清水の舞台で見た広い空と、
坂道での抹茶ソフトと、
茶寮でいただいた焼きたてのパンの美味しさ。
派手な出来事は何もない一日だったけれど、
初夏の京都東山は、まさにそんな楽しめる一面があった。
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〒605-0862 京都府京都市東山区清水1丁目294